『オプティミストはなぜ成功するか』を読んだ

無気力なのにはワケがあるを読んで、学習性無力感理論は面白いなあと思っていたら、セリグマン本人の本がPrime Readingで無料で読めることに気がついので読んでみた。内容は被っているのも多いので簡単にメモ。

本書は三部構成になっていて、第一部では学習性無力感や帰属理論を取り入れた改訂版学習性無力感、悲観主義とうつ病の関係などについて説明している。やはり研究者本人の本なので、どういう問題意識を持って、どのような実験環境を作って実験したか、学会での反応はどうだったかなどの血の通った情報があって面白かった。特に序盤は各章で必ずフロイトをdisっていてとてもよかった。(心理学の教科書で言うところの「フロイトには一部には批判もある」という落ち着いた解説に血が通った生き生きした文章が読める。) 第二部ではオプティミズムをさらに応用した研究の話。保険会社や大学生の入学後の成績など、才能をテストする場面において楽観主義を計測したほうがより正確な予測ができることが示されている。 また、説明スタイルが定着する子供時代の研究も重要で、家族における説明スタイルのパターンは遺伝ではなく、母親の説明スタイルと非常に通った結果になる傾向があるようだ。スポーツや選挙についても楽観度や悲観反芻度などで成績や当選などが予測できることが示されている。 ここで面白かったのは、CAVEという過去の発言の記録から説明スタイルを抽出する手法が確立したことだ。これは大恐慌時代の中流層と貧困層の子供達では後者の方がより悲観的な説明スタイルが見られていたのではないかという推測を立証する過程で生まれたものだ。これにより、原因帰属の記録さえ残っていれば説明スタイルが楽観的か悲観的か測れるようになり、それもあってスポーツ紙に情報が溢れているスポーツ分野や演説などの記録が残っている政治などでの研究に応用された訳だ。 この辺りはライフログ大事だなーと再確認できた。ライフログをつけている人間はそれだけ自分に関する手がかりが多くなる。TwitterとかFacebookでその時折思ったことを呟くと、それだけ自分に関する手がかりを残せることになる。(SNSなので自己呈示を完全に排除できないけど、まあできるだけストレートに思ったことを呟くように運用すべきかな。)実際にWatsonのPersonality Insightsに自分の過去のTweet群を投げるとBig5を基本としたパーソナリティの尺度が返ってくる。痕跡があればそれだけ自分をモニターしやすい。 第三部では、ペシミストからオプティミストにどうやったら変わることができるかというもので、ここら辺はエリスのABC理論を元にしている。論理療法とも呼ばれているもので、誤った信念=Beliefを論駁していく。長年蓄積されて来た説明スタイルは簡単に変わるものでもなさそうなので臨床家の力を借りるとより効果的かなと思うし、最近ではマインドフルネス心理療法のようないわば注意の向け方の訓練のようなものも研究が進んでいるのでその辺も押さえておきたいなと思った。 ポジティブ心理学の創始はごく最近で本書も90年代の本なので、色々情報深めたい感がある。次はチクセントミハイのフローとか読みたい。 ちなみにTEDでも喋ってたので見たけど面白かった。