初歩からの無職

東北大学MOOC「進化発生学入門−恐竜が鳥に進化した仕組み−」を受けてみた

    MOOCというのはMassive Open Online Courseの略でインターネット上で公開されている公開授業のことで、日本版のJMOOCを見ると講義が結構充実していることに気がついたので試しに一つ受けてみることにしました。

    色々あったけどやはり生物系に目がいってしまうので、東北大学の田村宏治先生の進化発生学入門−恐竜が鳥に進化した仕組み−を受けることにしました。田村宏治先生といえば、恐竜と鳥類の系統関係を考える上で長らく謎だった、恐竜の獣脚類と鳥類の前肢の3本の指の種類がそれぞれ違うという問題をニワトリの指の発生を調べて解決したことで有名な先生です。(『進化論はいかに進化したか』でも触れられていました。)

    講義は大まかに、脊椎動物の基本体制を例に発生の仕組み、遺伝子発現、遺伝と世代交代、系統関係、形態の変化をもたらすヘテロクロニーやヘテロトピー、鳥類特異的なエンハンサー配列と恐竜との関係などです。初期胚からどのようなメカニズムで細胞分化をするかなど結構込み入った話まで踏み込んでいる印象です。特に転写を制御するエンハンサーなどは理解が曖昧だったので具体的にイメージできるようになったと思います。

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    「Week 4:鳥エンハンサーによる鳥の特徴作りと恐竜」より

    この授業はgaccoというJMOOC公認のプラットフォーム上にあるのですが、全体的に快適でした。一つは講義がYoutube上にあることで、この時点で通信教育が犯しがちな非常に使いづらい独自プレイヤーという学習障壁から解放されています。字幕も対応しているばかりか、字幕をダウンロードすることもできます。もう一つは、講義動画がちゃんと動画であることのメリットを活かしている点です。動画上に教科書に載っている静止画を表示して教科書を朗読する授業もまたありがちなのです。この授業ではスライドを表示している間も極力喋っている講師がクロマキー合成で表示されるように工夫していたようで、講義後アンケートにも感想を求められていました。これは注意維持などにうまく機能していたように思います。

    というわけで、授業内容も面白く授業体験も優れていたので公開講義はオススメです、という感想です。公開講義は基本的に修了証がもらえるだけで学位にはつながらないですが、基本的に無料で良質なインプットが可能なのはかなり魅力的ですし、オープンバッジなどの前向きな取り組みもあるのでこれからも気になった講義は受けてみたいと思います。あとウォルパートやギルバートなどの発生生物学のレファレンスもほしいと思ったんですけど、ここまでくると1万円超えてくるんですね…。

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