Tinderというアプリをご存知でしょうか。彼氏彼女募集よろしく、広く出会いを求めるユーザーの心をがっちり掴んでいる出会い系アプリなのです。基本的に右にスワイプでLIKE、左にスワイプするとNOPE!って感じで、現在地点から近い場所にいる人を次々とLIKE or NOPEしていって、お互いにLIKEになるとはじめてメッセージのやりとりができるというお手軽な感じの出会い系アプリです。
無論、出会い系アプリはさらなる出会いを求めるリア充達の伏魔殿なわけで、我々クリーチャー勢には入る余地は少なく、僕ももう既に彼女という存在がバーチャルなものになっているので、正直出会えないだろうと思っています。僕のTinderの活用方法は日本語を勉強したい外国人と言語交換できればいいなあという感じで、まぁあわよくばスケベなことにつながればいいなという感じです。よろしくお願いします。
というわけで、制限が解除されると同時にひたすら右スワイプしまくる生活をしていて、何人か軽いメッセージのやりとりをするという日々になっているわけでございますが、この度凄まじいスピードでお茶をすることが決定した次第なのであります。
そんなわけで全力右スワイプしていると何人か帰ってくるのですが、今回は日本人の女性で何やら旅行系の仕事で飛び回っている系だそうです。割りと旅行の話で盛り上がってトントン拍子で会うことになりました。
ブサイクとしてはやはり身構えます。マルチか宗教の勧誘では、あるいは美人局的な展開で怖いお兄さんが出てくるのかなーとビクビクしながら渋谷のカフェに向かいます。
場所は渋谷の新南口の前のスズカフェです。イケダハヤト氏も紹介している隠れ家的なカフェです。一体何から隠れているのかは不明です。
引用:公式サイトより
もうMacを5回くらいApple Storeやビックカメラに持ち込んでいるので渋谷は庭みたいなものです。新南口へ向かって地上に出るとそこは道玄坂。完全に逆でした。小走りで向かうも遅刻します。田舎っぺで本当にすみませんでした。
スズカフェは確かに人が全然いなくて穴場感あります。結婚式の2次会とかで結構使われるらしいです。結構距離があるから まぁ穴場ですよね。完全に日曜の夜だからです、はい。
もう結論から言うとマルチ商法っぽい女性だったわけですが、やはりフレンドリーで話しやすい感じです。一応高松の出身ということを言っていて、関西弁っぽいトーンです。距離感詰めるのもうまいなぁと。仕事だし!
最初は割りと質問をしてきたので、現在ニートであることと、海外旅行した話なんかをグダグダ喋りました。ここはもう徹底していて、話す相手が気持ちよくなるように返してくれるんですね。
なんか僕ばっか話してたんで、マルチ女子の方の話も聞きます。マルチ女子は基本的に国内を飛び回っているという設定で、iPhoneに撮りためた伊豆のリゾートや台湾旅行の写真を見せていただきました。高級リゾートの最上階などの写真で、仕事だから割りといい値段で泊まれたという話を、おーすごいですねー!と言いながら聞きます。そんな宿泊施設に縁も興味もないですが聞きます。
ともかく、各地を旅行しつつ、それはビジネスにもつながっているんだということを説明していただきました。以前は働いていたけど、今回の仕事を始めてから人生が本当に楽しくなったと言います。僕もニートになってから毎日がハッピーです。
で、具体的にどんなビジネスなのか全然分からないので質問してみます。
マルチ女子いわく、国や公共施設が使っている施設などを個人でも使えるようにするのが私達のビジネスだという説明をしてもらったんですが、僕の貧弱な頭では全然意味がわからなかったので、もっと分かりやすくオナシャスということをお伝えします。
ハワイのヒルトンホテルの近くのコンドミニアムの写真を見せてもらい、この部屋の宿泊権をうちが扱っているんだということを説明してくれています。つまり、会員権を購入すると週単位の宿泊権がもらえる的な感じでしょうか。ここらへんで、マルチだと確信を持ったので、恐る恐る話を進めてもらいます。
さらに、なんとかさんっていうなんか超やべえ起業家さんのありがたい言葉が詰まった冊子を今日は特別に持ってきてくれているらしいです。「これフリーランスの人とかなら絶対読んだいい内容が詰まっているですよね」って言われたんですけど、僕は割りとニート寄りなので必要ないかなと思いつつ、「それは無料で読めるのですか?」と言うと「え?読みたいの?」ともったいぶってきます。「情報商材ってことですか?」と聞くと「いえ、無料。読むの?」と意地悪い笑みを浮かべながら、カバンから冊子を取り出します。
「一つだけ条件があって、これを読むときは一言一言、口にだすようにしっかり読んでいただける人に読んでほしいんだけど」「あ、じゃあいいです。」と即効で断ってしまいました。なんか長くなりそうだと面倒くさい気持ちに勝てません。
「種ちゃん、あんた本当に損するタイプだわ。」「一生、労働しないとね。頑張ってね」と激励の言葉を頂きます。言っていることは正しいので「へへへっ!」と薄ら笑いを浮かべます。気持ち悪い男です。
「成功したいとは思わないの?」という問いに「いや、適当に生きていければいいかなって思ってます。」と答えるニート。マルチの人はこんなに頑張っているのにやはりニートはダメ人間です。
相手の人も、最初から悪い客を引いてしまったという感じだったのですが、いよいよ可能性もゼロになってきたので、早く切り上げてきて欲しいらしく、お説教が長くなりそうだったので「時間大丈夫ですか?」と切り出していい感じに終わりにして店を後にします。
時間にして40分程度。あまりに早すぎる商談が終了。己の無力さを知ります。
というわけで、蓋を開けてみればマルチの営業だったわけですが、裏を返すとマルチの女の子とならお茶に付き合ってくれるという事実が判明したわけです。今回は完全に失敗だったわけですが、敗因をきっちり把握して次に活かす必要があります。
マルチのトークの基本は「褒める」と同時に「これフリーの人ならみんな知ってるけど」とか「成功する人はみんなやってるよ」とか、なんとなく知らないと恥をかくよ的な手法でどんどん追い込みをかけてるのかなと感じました。もう僕は恥に足をつけて歩いているようなものなので、分からない部分はなにそれ?状態だったのですが。
ともかく、トーク力全般はやはり向こうの方が上なので、もっと喋り慣れないとスピーディに商談が終了してしまうので注意が必要です。
もう相手がニートの時点でハワイの会員権とか売れないですよね。無駄に時間だけ取らせてしまったようで、これはもう本当に申し訳ないことをしたと思っています。
ニートなんですよねって言うと割りと免罪符の機能が働いて何やっても許してもらえるという、どこか甘えている部分もあります。嘘をつかない範囲でまだ金を持っている可能性を残すことが大事なのではないかと思います。
向こうがネットワークビジネスを解説するときに「アムウェイって知ってます?」と有名ドコロを例に挙げてくれたんですが、「ああ、うちの母親がやってるけど、あれはクソですね。」って言ってしまったのが完全にアウトです。ちょっと空気が変になっちゃってやっちまった感です。完全にマルチ感出してたのについつい否定してしまったKY男になってしまいました。マルチに肯定的でないならば、既に唾つけられていることを悟られてはいけません。
僕はもう本当にコミュ症なんですけど、割りと自分に興味がないトピックだと「ふーん」とか「へぇー」とか露骨に興味なさがにじみ出てしまうんですね。やっぱ基本は相手の話をちゃんと聞くことが重要ではないかと。今回も相手のビジネスの設定を詳しく聞くこともなく全く意味不明のまま終了してしまったので勿体ないことをしたなと。せめて怪しげな冊子くらいは見ておけばよかった。
やっぱこういうシーンで、しっかりと相手の話を聞くという基礎的なコミュニケーションができないから僕はクソなんだなと実感します。
相手方がマルチ商法かどうか、またいわゆる違法な無限連鎖講かどうかは確認してないので、あくまでマルチっぽい人だったということでどうぞよろしくお願いします。あとアムウェイがクソというのは僕の個人的見解ですよ。
ちなみにTinderはかなり気に入ってます。ありがとうTinder!