初歩からの無職

普通の会社で社員が経営者視点を持つには、という話をスーツを着ながらした。

    前職では与えられた仕事も満足にできず、泣きながら逃走した種延です。どうもです。

    前回のオムツ姿とは打って変わって数年ぶりに着用したスーツ。もう捨てようかと思っていたのですが、偶然にも着る機会ができました。

    このスーツを着るだけで、湧き上がるコミュニケーション能力…ッ!御社が第一志望です!!

    ヘルスケアの勉強会で偶然出会った地元人

    お誘いいただいた人は僕の地元、福山の医療系の会社に勤めている方で、たまたま僕がうんこについて調べていたときに参加したヘルスケアに関する勉強会で出会いました。まさか地元にニコニコ超会議に参加している企業があるとは…。

    それからというもの、広島人が集まる飲み会を主催してもらって、色んな人とつないでくれた人でもあります。 時には広島系美女をたくさん集めてくれて、僕が何も喋れず泣きながら家路に着いたというトラウマを作ってくれた人でもあります。コミュ症ここに極めり。

    この間も記事でどうしても分からない情報があったのでFacebookで情報を求めたところ、見事に欲しい情報を持つ方とマッチングしてくれたりと、とにかく顔が広い方でもあります。地元にこんな面白い企業があったのかーと感心。

    人手不足でバイトどうですか?

    今回はそんな中、どうやら人手が急激に不足したらしく、種延さんバイトどうですか?と話をもらったわけですが、おかげ様で本業にも精を出さねばならず、なかなかお手伝いできそうにありませんでした。が、せっかくなのでどんな仕事だけは見てみようと思って見学を希望したら、なんとスーツ着用必須で、伸ばしに伸ばしてた無精髭も剃り上げろと…。これが社会である。

    マジで人が足りていないらしく、スポット参加ならまだ・・・と言ったものの、来れる日だけでも来て欲しいということで、とりあえず作業内容を見てみることに。

    基本的には僕の時間でできることは基本的には病院2件を回って必要なものを回収する作業だ。守秘義務があるのであんま詳しくは書けないけどつまるところこれだけである。

    紹介してくれたその人はどうやら所長さんだったらしい。あわわ、すごい人だった。あと久々に普通の会社という雰囲気で、スーツも着ているしなかなかに緊張したひとときだった。

    でもまぁ、僕は本業と言うか、メインの仕事で明確なゴールが定められており、それが最優先なのには変わりがない。正直なところ、単なるバイトは今は必要ではないので今回はどの程度手伝えるかどうかは不明だ。

    飲みで経営者視点の話をする

    その後ご飯をおごって頂いたのだが、社員が経営者視点を持つにはどうすればいいか、という話で盛り上がる。僕自身は前職で全くそれがないどころか、与えられた仕事さえ満足に出来なかった経験があるので痛い話だ。

    だが今は、自分が生きるために必要なことを行動出来ている気がする。仕事も複数チャレンジしたりしているし、話をもらったらホイホイついていくし、夜はイベントのスケジュールで埋まっていたりする。今のメインの委託元の方にも「経営者視点を持って欲しい」と言われていて、それは前職でも言われたことなのだが、今ではなんとなくその意味がわかる気がする。

    食い違っていた点

    僕とその所長さんで一番食い違っていたのは、現状とれる策として僕が「社員にどんどん副業を推奨したらいい」ということを言ったのだが、所長さんはそれには同意できない感じだった。

    僕は雇用されている以上、社員が経営者視点を持つことは基本的に不可能だと思うし、それを持たないからと言って根性論で駄目だしするのはまったくもって検討違いだと思っている。

    社員が生きるために必要なことは「定年まで過ごすこと」なのは間違いない。これは日本の強い解雇規制と年功序列型の賃金が創りだした文化だと思う。それでも一昔前の人はそれなりに会社を発展するために仕事に生きている人が多く、今の人になぜそれができないのかが理解できないのだと思う。

    年金制度に見る意識の違い

    この点については年金制度についても意見が食い違っていたのでそこが答えかもしれない。僕は本当にダメ人間だけど、少なくとも今は自分が生き残るために必要なことを選択しているつもりで、そういう意味では経営者視点をある程度は持っていると思っている。そんな僕だが、僕が生きる上で年金を律儀に納めるメリットは微塵も感じられない。せいぜい、妻子を持った場合のリスクヘッジにはなるだろうが、僕にはそんな予定はないのでやはり現状、年金に投資するという経営判断はナンセンスだ。

    だが所長さんはそれでも納めるべきだと言う。先人に対する感謝とか色々理由を立てていたが、正直いまいちピンときていない。同情はするが、僕が今負け濃厚な投資をしなければならないという理由にはなっていない。

    昔は年金を収めたら将来確実にもらえるという確信があった。だがしかし、今の世代は果たして払った分をペイできるかというとかなり微妙だ。同じことが働き方にも出ている。すなわち、昔は終身雇用が今よりも強く保証されていたため、ガンガン仕事で自己実現をするためのチャレンジができたが、現在はその部分が保証されているわけではない。経営が傾いたら普通にリストラは行われるし、頑張っても昇給につながるかどうかは分からない。

    同じ舞台が用意されているのに、なぜ若い人はチャレンジしないかという疑問を持っているが、そもそも舞台が違う。そんなことないと言うかも知れないが、今の若い世代は基本的に自己評価が低い。就職活動では藁をもつかむ思いで内定欲しさにピエロにでもなるし、そんな思いをしてやっと入れた会社で、「定年まで勤めること」が自己利益を最大化する一番のインセンティブで、果たしてチャレンジできない若者を責めることができようか。

    で、副業の話になるわけだが。

    僕が副業の話を持ちだしたのは現状取れる策として、「チャレンジして成果をあげること>定年まで勤めること」の図式を成立させない限りは、いくら根性論で社員の精神を鍛えようと思っても無意味ということだ。

    この図式を成立させる一番の方式は完全に成果報酬型に切り替えることだが、それはまぁ大きい組織でその変革は凄まじく面倒なのだと思う。

    だとするならば、副業を推奨するというのが手段としてある。もちろん本業に支障がでない範囲という条件付きであるが。

    ギークオフィスによく来られる大石さんの会社では副業を推奨している。

    もし副業の理由がお金というよりも自己の成長だった場合には、むしろ推奨した方が良いかも知れませんよ。マネジメント能力が高まるのなら会社組織運営にも活きるかも知れませんし、技術的スキルが高まるのなら会社の生産力向上にも繋がる訳です。お金を払う習い事で得るスキルの持ち込みはokで、お金を貰うプライベートワークで得たスキルの持ち込みはNGってのは意味が分かりませんし、明確な線引きは出来ません。唯一の線引きは先のタクシーの例にあるように『「副業」が「主業」を毀損するかどうか』だけで良いのです。副業が本来主業で生み出しえたであろう価値を少しでも低下させるならそれはNGってことで、是正が図られないのなら契約破棄を意味するだけの事です。 副業禁止について - 関西/大阪のiPhone・iPadアプリ開発 feedtailor Inc. 社長ブログ

    大石さんはそもそもなぜ副業禁止なのか?というそもそもの部分に疑問を投げかけ、雇用というものをフラットに考えた結果、副業を促進した方が本業の価値を向上させるという経営判断をされています。これはIT系の会社にはよくあることで、エンジニアは勉強会に参加して横のつながりを広げたり、ハッカソンというイベントでプロダクトを作成したりして会社以外の場所において日々技術を向上させており、それが本業にも活きてきているのです。

    ブロガーのイケダハヤト氏は前職では副業自由な会社に勤務しており、副業についても個人の側に立った考えを持っています。

    でも、社員の人生の選択肢が、「副業禁止」によって狭まるのも事実なのですよ。大企業とか公務員だと、実家のビジネスを土日で手伝うのもNGだったりします。ボランティアとしてNPOに関わるのもNG、なんて会社も知っています。ちょっとそれは、会社が個人の人生を縛りすぎでしょう。「副業はしません」と言って入社した社員だったとしても、価値観やライフステージの変化によって、副業が必要になることもあるでしょうから。

    よほどの合理的な理由があれば別ですが(…国家レベルの機密を扱っているとか?)、完全なる副業禁止というのは、働く人に対する人権侵害のレベルに達しているとぼくは感じます。会社の採用力・マネジメント力不足を、社員に転嫁しているだけですよ。そんなもんは個人の自由で収めておく話です。

    「副業禁止」の会社では、ぼくは絶対に社員として働きたくありません。優秀な人ほど、そう考えるとも思います - まだ東京で消耗してるの?

    つまるところ、副業を禁止する合理的理由はなくて、単純に会社のマネジメント力不足を社員の自由を束縛する形で転嫁しているだけという考えですね。

    結局何が言いたいかというと、今や企業一社に依存する形というのは非常にリスキーな状態であり、例えば副業などで収入源を複数確保することでリスク分散することで、はじめて「自分という個人」を経営する経営者になれるんかなと僕は思います。例えば本業以外に本業以上の収益があったら、いつでも辞めてやるわって感じに絶対なるじゃないですか。こういう状態に至ってはじめてチャレンジできるのではないかと思うわけですよ。

    サードプレイスが重要なのでは

    なんでそんな副業なの?ってなるけど、まぁぶっちゃけ副業じゃなくてもよくて、家や会社以外の繋がりをどう作るかがポイントかなと思います。

    最近ではサードプレイスという言葉が流行っていますが、家や会社以外の第三の場所を指しています。スタバとかコワーキングとかですね。

    ここは新しくビジネスが生まれやすい環境でもあり、実際に僕も仕事の多くはサードプレイスであるギークオフィスから発生したりしています。今回の出会いもまさにそう。

    同じ繋がりの問題で言えば、ニートの問題もまさにそうで、ニートになりやすい特徴の一つに家や会社のような強固な繋がり以外の、横に広がる緩やかなネットワークがない人間はニートになりやすいのではないか、という指摘があります。

    これってphaさんのいうところの「ゆるい繋がり」であり、サードプレイスのような横に広がるネットワークですよね。僕の生存戦略はいかにこのゆるい繋がりを作るかにかかっていて、そういった意味では横の広がるネットワークを持っている人間はそれなりに経営者的視点を持つのではないかなと思っています。

    あと全然読んでないんだけどちきりんさんの本が多分そういうこと書いてんじゃねえかなって思ってます。全然読んでねえけど。

    会社でその雰囲気作るの超難しそうだし、やっぱ面倒だよね

    というわけで、使えないダメ社員がなんちゃって個人事業主になってから思ったこともあり、今まさに身につけ無くてはならない「経営者視点」というものについてはこんな感じに捉えてます。

    所長さん的には、何でも意見を言える会社だし、なぜ?って感じなのだろうけど、多分僕が社員でも何もできんだろうなあと思う。それだけ会社の雰囲気は作るの難しいんだろうなぁ。

    っていう意味で、やっぱ会社適正は多分無いので、しばらくフリーでもがこうと思うニートなのでした。あとスーツは暑いので着たくない。