田舎に住み始めて一年が経った

とりあえず地方に住んでみるかと思い、岩手県沿岸部の大船渡市に住み始めてから気がついたら1年が経過した。同じ場所に1年以上留まっているのは実に数年ぶりで、どちらかというと資金面だったり精神面だったりのネガティブな理由で移動もできないのでもう少し滞在しそう。ちょうど1年できりが良いので感想なり自分の近況なりをまとめておきたい。

自分のこと

しばらく無職でだらだらしていたものの、お金が底を尽きたので春先から仕事をし始めた。やる気出して頑張るので仕事ください!と言って仕事をもらったのだが結局夏に入る前に精神が崩壊して中断している。手を差し伸べてくれる親切な人にピンポイントに損害を与えるのが無能の性でつらいし、こういう不義理なことを繰り返して破滅していくことを考えるとしょんぼりする。

あまりに注意制御が効かないので精神科に通院して検査を始めた。WAIS-IIIやロールシャッハやバウムテスト、モーズレイ性格検査、自閉症スペクトラム指数の質問紙などを行った。この辺は大学の授業で勉強した心理検査なので実際にやってみるのは面白かった。正式な診断は来月になるが、ADHDで落ち着きそうだ。

WAIS-IIIは定量的な数値が出るので面白い。言語性IQと動作性IQの差や群指数のばらつきなどが重要らしいが、知能検査のプロフィールの解釈はやはり専門のテキストが必要なので高いけどそのうち入手したい。(Amazonのウィッシュリストに載っけたのでよければください!)

ストラテラの処方も可能だったらしいが臨床心理士の勧めもありカウンセリングベースで治療方針を決めていくことになっている。個人的には注意制御の方略と安全地帯作りをその過程でできたらいいなーと思う。

学業面の話だと、心理学が面白いので放送大学は卒業を目指すことにした。公認心理師資格も始まるので認定心理士と合わせて要件は一応揃えておこうと思う。臨床心理士は実務が必要なのでしんどそう。興味の強さで言えば臨床心理学よりもどちらかと言うと認知科学の研究やりたいなという感じなので、大学院も視野に入れている。(なお、お金の問題を棚上げにしているので実現できるかはわからない)

英語もニートなのでやろうと思って、だらだらやって定期的にTOEIC受けて800超えたらDMM英会話やればいいかなあと思ったら最初のTOEICで超えてしまったので検討しているが、やはり生身の人間と30分間何かを喋らなければならないのを毎日セッティングしないといけないのが億劫でまだ始められていない。

ちなみに800は予想より全然英語わからないし、ビジネスシーンとか無職にとってはファンタジーなのでしょうがない感じがする。なんか周りを見ると英語に飽き足らず既に中国語始めてる人が多いので、英語だけでもできるようになりたい。

最近は数学のやり直しを始めて、長岡の高校数学を始めてみた。きっかけは心理統計とかに必要なのと、やはり数学できないと全般の理解が浅くなるんじゃないかという感覚、会話で微分・積分とか線形代数とかの単語が出てくると萎縮してしまう人生がつらいなどがある。WAIS-IIIのプロフィールにも見えている通り、数字を扱うのは苦手なので、ここいらで克服しておきたい。

と、やりたいことを挙げていくと気分も楽しくなってくるが、やらなければらないことに関しては一貫して放置してしまっていて、それが頭をよぎると活動性が一気に下がってしまうので、全体的にはつらい人生を送っている。しょんぼり。

大船渡のこと

実のところ、ずっと引きこもっていたのでそんなに大船渡のことを知らない。SNSで繋がってる人数自体も多くないのもあるが、とにかく比較的オープンなコミュニティのように個々人の考えがフィードに流れてこないので地域に対する解像度が低い。断片的に見聞きしている限りだと、地方創生とか地域活性化は大変だなーという月並みな感想になる。

住環境の話をすると、ギークハウス大船渡の物件はやはりシェアハウス向きではないと感じた。市街地から遠く、徒歩で通常の生活は成立しない。自転車があれば不可能ではないが、道路は狭く工事の大型車両も多く行き来するので危険が伴う。間取りも一部屋一部屋が小さく、冷房もない。最もクリティカルなのは給湯が夜間発電を利用していることで、一定以上の湯量を使い切るとその日はお湯が出なくなってしまう。このため、住民5人以上になるとシビアな湯量管理が求められる。ところどころ改修が必要な部分もあるが、いつまでこの物件を利用できるかもわからないので改修に踏み切れない部分もありそうだ。空き家の再利用というのは言うほど簡単ではないというのが住んでみての実感だ。

住環境は上記の通り、はっきり言って良い環境とは言えないのだけど、それでもそこまで困ることはなかった。これは僕が無職の引きこもりだからというところが大きい。ギークハウスの運営には行政も一枚噛んでいて、どうやら関係者は「ちゃんと働いている人に来て欲しい」と創始者が誰かも知らないようなことを言っていたらしく、気持ちは分からなくもないが、外から”ちゃんとした”人に来てもらうのならもう少し頭を使って欲しいところではある。無職の引きこもりであれば生活が成立するような物件には無職のひきこもりしか定着しないし、そのような物件に住宅補助のない地域おこし協力隊がすまざるを得ないのはちょっと気の毒ではある。(畑エリアからは近く、彼らには車が支給されるのでそういう意味では悪くないのだが。)

話が逸れたが、家賃も安く、スーパーも安いので生存コストは圧倒的に下がっている。スーパーまでは片道8km、勾配も少ないので移動は楽だ(普通のママチャリだともちろんしんどいと思う)。雨の日の移動はきついが、そういう日のバッファとしてAmazonの定期便でカップラーメンなどを備蓄している。Amazonも思ったよりコンスタントに2日くらいで到着するし、何より田舎特有の玄関に置いといてくれるのが便利。

近隣都市への移動は盛岡、仙台に高速バスでどちらも大体3時間2000円くらいで到着する。特に盛岡行きのバスは家のすぐそばなのでドアツードアでアクセスできるので便利だ。

岩手県は豪雪地帯に区分されているが、大船渡は積雪はかなり少ない方だ。の、はずだったのだが、今年の冬は50年住んでててこんな雪は初めて、と言わしめるくらい積もった。話が違うぞと思いながら、積雪したときはザックを背負って徒歩で食糧を買い出しに行き、地元の人から旅人だと思われてしまった。

ちょうど同じ頃、一匹のネズミが猛威を奮った。夜な夜な天井裏でビートを刻んだり、食物がやられたり、柱やふすまをかじったり、そこら中に糞が撒き散らされたりした。ねずみ返しって先人の知恵だな、などと思いながら紆余曲折を経てAmazonで買ったネズミ捕りにかかって始末することができた。

動物関係で言えば、春先から頻繁にツキノワグマが目と鼻の先で目撃されるようになった。渓流釣りをしていた人が実際に襲われてしまってかなり戦々恐々としてしまった。僕個人もクマがよく目撃されるエリアの温泉に入るために自転車でヒルクライムしていたところ、すぐとなりの茂みでかなり重い動作音がして、死ぬほどびっくりしてしまった。(姿は見ていないのだけど音から察するにそこそこ大きくて鹿っぽくないと思った)

大船渡というか東北全般は縄文遺構が多いのが好きなポイントだ。食性分析をするとやはり東北縄文人は海産物に偏っていて、大船渡の綾里湾を臨む野々前貝塚からはサーファーズイヤーとも呼ばれる外耳道骨腫がみられる縄文人骨が3体発掘されている。野々前4号人骨については核ゲノム解析が予定されているらしくワクワクする。

大船渡はまさしく周縁部の海民エリアでそういう視点で見ると興味深い街でもある。ほぼ平野部がなく、海からすぐ山なので稲作ができない地域だ。瀬川拓郎の縄文思想ではこうした地域に縄文習俗が残存している可能性を指摘しているが、農耕民のモノカルチャー化をそのまま引き継いでいる資本主義モノカルチャーに対して、海民エリアの多くの生業に特化していく縄文的なマルチカルチャーという対比は、考古学的興味を超えて個人の生き方とか地域活性化のアイデアとしてかなり示唆に富んでいる気がしている。

今後のこと

さしあたってお金の問題をクリアしないといけない。既に底を尽きているので大船渡から移動できないし、学問をするにも学費が必要だ。仕事をするためにも通院して安定させたいところだが、通院費がまずないので先にお金を稼がないといけない。

働くたびにクビになったり揉めたり迷惑をかけたりしているので、自己肯定感とお金をトレードしている感覚になっている。そろそろ自己肯定感を減らさずにお金を手に入れる術がないとどんどんすり減っていきそうだ。

とりあえず、劇場版 のんのんびより ばけーしょんが公開されたのでそれを見て精神を安定させたい。