初歩からの無職

りんご革命塾でデジタルブティック・安西正育さんのお話を聞いてきました

    3回目のりんご革命塾は元アップル社員でベビカムで有名なデジタルブティック代表取締役 安西正育さんがゲストでした。インターネットがまだ普及してない時代からベビカムを作った話、子供の英会話教育にレゴを取り入れたドリームパイ、就業支援として地方自治体の導入実績もあるWorksmartなどの貴重なお話を聞くことができました。

    出産・育児の老舗コミュニティ・ベビカム

    まだネットが普及していない時代

    1996年、Googleが創業する3ヶ月前にベビカムはスタートしています。ネットがまだ十分に普及していない時代に、子育ての為のコミュニティサイトとしてスタートしていたということになります。実際に、1年半ほどは無収入の状態が続き、ママ達に広めようにも「ネットって何?」という時代のため、まずは地道にインターネットの啓蒙から始まり、1万人ほど会員が増えた段階で広告代理店などからのリサーチ依頼などが回ってくるようになったそうです。スターティングの段階では、もちろん明確なビジネスモデルも存在せず、どうビジネスが成り立つかも不透明な状態だったようですが、「人は集まるだろう」という確信だけはあったとおっしゃっていました。

    出産・育児は人生で最もコミュニケーションが必要な時期

    妊娠している時って、本当は幸せを思いっきりかみしめられる時期なのに…」妻が私に言ったこの言葉が、BabyComesTrueプロジェクトの構想の始まりでした。

    昔は出産・育児は両親だけでなく、大家族の中で経験豊富なおじいちゃんやおばあちゃん、ご近所などサポートしてくれる環境が充実していましたが、今は核家族化が進み、相談できる人も少なく人生で一番不安な時期になっています。安西さんはネットの力ならこの問題を解決できると確信し、それが形になったものがベビカムというコミュニティサイトを作ることだったわけですね。

    コミュニティサイトは長い付き合いでなければならない

    安西さんの尽力もあって、ベビカムは巨大なコミュニティへと成長しました。普通なら集客力のあるコンテンツに対して、純広告によるマネタイズを真っ先に思い浮かべますが、ベビカムは資料[pdf]を見ても分かる通り、より協賛広告を重視しています。一時期、育児系サイトがたくさん作られた時期があったそうですが、結局ビジネスで成り立たないと継続できず気づいたら無くなっているという状態だったようです。ベビカムは長いスパンで協賛してしっかりビジネスとしてやっていきましょうというスタンスというわけです。出産育児ってものすごく長期間だし、ベビカムが成功したのはママ達だけでなく、企業もコミュニティに巻き込むビジネスモデルにしたことが大きいのかなと感じました。

    育児をする親の声を16年間聞いて

    安西さんはベビカムを運営し続けて、子供の英語学習と再就職支援という2つのソリューションを新たに提供しています。

    レゴを使って英語を勉強するDreamPie

    レゴを使って楽しく

    スカイプを用いた英会話プログラムはメジャーですが、ドリームパイはLEGOブロックやシルバニアファミリーを使って手を動かしながら英語学習をします。実際に授業の様子をYoutubeで見せてもらいましたが、子供は元気いっぱい動きまわるもので、とてもじゃないけど座ってお行儀よく英会話は不可能なんじゃないかなと思いました。レゴは教材として教育シーンに活用されてきたおもちゃですし、実際に手を動かて遊びながら英語を使うのはよく考えられたプログラムだと思います。写真やイラストで象がelephantと覚えるよりも、ブロックを組み合わせて象を作ったほうがなんだか覚えられそうですよね。

    親も一緒に

    ドリームパイは教師と子供がネットを通じてインタラクティブにやりとりをする以外にも、子供と教師に親も参加することを促しています。DVD教材を子供に見せながら、親は別のことをするという方法では実は効果を得ることはできず、親も積極的に参加してコミュニケーションをすることが大事なわけです。

    各社とのやりとり

    レゴ社は実はオンライン教材でレゴを使用するのは初めてらしく、実際にレゴ本社とやりとりをして契約したそうです。フィリピンの教師陣は日本企業のコールセンターと契約し、子どもの教育に適した人材をセレクトしています。ハードであるおもちゃに、ソフトであるオンライン英会話、ハードとソフトを一体にして素晴らしいプロダクトにするのは、Appleにいた安西さんらしい発想だなと思います。

    WorkSmart

    子育てと両立できる在宅ワーク

    子育てと両立できるように働く場所や時間にとらわれない在宅ワーク事業をやっているそうです。ベビカムという巨大なコミュニティを擁する

    豊後高田市が積極導入

    住みたい田舎No1の大分県豊後高田市が子育て支援にWorksmartオフィスをオープンさせ、現在6人の雇用が実現しているそうです。総務省の地域情報化大賞の奨励賞も受賞しています。

    ジョブズのConnecting the dots

    ジョブズのスピーチの有名なフレーズにConnecting the Dotsというものがあります。未来に向かって点を繋ぐことはできない。だから自分が今やっていることが将来何かにつながるということを信じてください、という内容です。安西さんのベビカムはまさにこのジョブズのイノベーションの魂を体現しています。ビジョンを持って常に新しいことにチャレンジされている、安西さんの素晴らしいお話でした。ありがとうございました。