初歩からの無職

はぁとふる売国奴・田中圭一さんがゲストのりんご革命塾に行ってきた!後編

    こんにちは。たねのぶです。前回の記事の続きで、後編はいよいよ高木さんと田中圭一さん、そして参加していた出版・メディア関係者との本当に濃厚な対談やディスカッションを一人の無職が見聞きした感想を書きたいと思います。

    田中圭一さんとは

    詳しい内容はWikipediaをご覧いただくとして・・・。僕も実際そうなんですが、田中圭一さんの漫画を読んだことはないという人でもTwitter等で田中圭一さんの絵を見たことがある人はいると思います。自称「お下劣サイテーパロディ漫画家」で、手塚作品やジブリ作品のタッチで描くパロディ漫画を書かれている方です。

    最近はコミケで同人誌も出されていて出版評論社さんから購入することもできます。

    同人誌と商業誌の違い

    田中さんはプロの漫画家として商業誌を出されている一方で、同人誌も出されています。結構勘違いされていることが多いと仰っていたのは、田中さんは手塚プロなど「パロディ元から公認ないし黙認されている」ということで、実はそういうものではないということでした。岡田斗司夫さんとの対談にもこの話は出てきますが、商業誌を出すときは許諾を取りつつ、「手塚治虫風の男の子」という画風のみをパロディするのであって、例えば「ブラックジャック」などのキャラクターにはタッチしないようにしているそうです。逆に同人活動においては、二次創作物なので他の同人作家と同様に、二次創作の範疇で表現をされています。

    Twitterで作品を発表する漫画家

    田中さんは紙媒体から徐々に電子書籍の方へシフトしていっているそうで、ご本人も「デジタル漫画家になりつつある」と仰っていました。実際、田中さんは現在3万5千人近いフォロワー数を抱えており、作品発表もTwitterで行っています。

    フォロワーが3万人を超すということ

    面白かった話がTwitterのフォロワー数が「3万人」を超えたあたりからある種のメディアとして機能しはじめたという話で、モバゲーのスカイロックというゲームに言及した時の話。

    もちろん田中さんは「お前が言うな」というツッコミを期待したボケだったわけですが、このツイートはまず漫画家がスカイロックのキャラクターデザインを批判したというニュアンスでニュースサイトに取り上げられ、その後その漫画家は田中圭一というお下劣パロディ漫画家じゃないか!という二段階の炎上の仕方をします。

    要は自分のツイートが自分のことをよく知らない人達にも届くくらいの発信力を持ってきたということと、その一つのボーダーといえるのが「3万人」という数です。このことは同じくりんご革命塾に参加されていた漫画家の鈴木みそさんも同意されていて、3万人に近づくほど自分の事をあまり知らない人が増えてきていると実感されているそうです。

     評価が即座に返ってくる

    Twitterで作品を発表することで、どのようなネタが受けるのか、何時くらいにあげるとバズりやすいのかといった事も考えるようになったそうです。Twitterを見た編集者から連載依頼なども来るそうで、その情報をまたフォロワーに発信して読者獲得につなげるなど、田中さんの販売チャンネルがネット上で循環を作っているのがわかります。

    ネットでほぼ見れるが…

    田中さんの作品は実は8割9割はネットを探せば見れますが、ファンはそれでも紙や電信書籍で買うと言います。要はファンは情報を手に入れるためにお金を払うのではなく、コレクション性の高いグッズにお金を払うという話でした。これは本当に的を射ている話だと思います。

    ジョブズ以後の流通チャンネルはどうなるのか

    チャンネルは多様化している

    出版社も音楽メーカーもかつては販売チャンネルを持っていて、そこに優れた作家やアーティストが集まってきてチャンネルが活きていた時代がありましたが、ネットが普及した後は徐々にそのチャンネルも枯れてきています。音楽業界はナップスターなどのファイル共有に代表されるような違法ダウンロードが当たり前の時代を迎え、iTunes Storeで競争で違法ダウンロードと戦うと決めたAppleとは対照的に、日本では技術的にコピーを不可能にすることに躍起になって、事実コケました。僕はあまり音楽は聞く方じゃないけど、今思い返してもあの頃の音楽プレイヤーは本当にユーザー軽視でダメダメだったなぁと。

    CDがAKBや嵐以外売れなくなった日本でも実は音楽が衰退しているわけではなくて、実はダウンロードやライブなどに販売チャンネルが多様化しているだけですよね。CDというチャンネルに固執して結果的にアップルに遅れをとった音楽業界の失敗を他のメディアも学ぶべきなんだろうなと僕は思います。

    作家が街のパン屋さんになる日

    漫画原作者の竹熊さんという方がいて『漫画家は街のパン屋さんになるべきだ』という事を言っていたと懇親会で田中さんが仰っていました。こちらの記事にもより詳しく書いてありますが、街のパン屋のように固定のファン層を掴んでそのファンの需要に応えることでマネタイズをするほうが良いと鋭い指摘です。

    このロジックはライブ重視にシフトしてきた音楽業界にも当てはまりますし、最近だとYouTubeやニコニコ動画のマネタイズにも言えることだと思います。

    りんご革命塾 第1回に参加して

    ネットと著作物の問題に関して僕が肌で感じていたことはやはり音楽で、ユーザーを泥棒扱いしてどんどんコピーガードを強化して利便性の悪いシステムを作っていた日本メーカーと、ユーザーを信頼することで競争で顧客を獲得したジョブズの対比は強烈に僕の中に残っています。そのデジタル化の波が既に書籍や漫画にも来ていて、今後さらに加速していくのだと思います。

    漫画家の全員が大手出版社の漫画雑誌への掲載を目指す時代は終わるのだろうし、もしかしたら終わってるのかもしれません。田中圭一さんのように面白い漫画家が色んなルートで発表できるのはとても素晴らしいんじゃないかなと思います。

    以上、僕の稚拙な文章力でまとめきれるはずもなく、実際はもっと色々おもしろい話が聞けるので参加をおすすめします!田中さんがやりたい放題やってる同人本は評論出版社で買えます!紙も電子書籍も買えます!読みましょう!では!