初歩からの無職

Tinderで出会ったマルチ勧誘の女子をオムツはいたニートが全力で勧誘し返した話

    アムウェイの説明会に行った3日後、今日は別のマルチ勧誘の女性と渋谷でお茶。とは言っても、先日でマルチの実態というか、ビジネスモデルは大体把握したので結構飽きてきてたので、今回は攻めに攻めようという心意気で向かったのであります。オムツはいて

    マルチとワックスが交錯するとき、物語は動き出す。種延マルチ勧誘三部作、感動の最終章。

    本題に入る前になぜ私はオムツをはいて渋谷をうろついていたのか

    ブラウザを閉じる前に僕の話を聞いて欲しい

    別に僕は根っからの赤ちゃんプレイが好きな変態でも、群衆の中で密かに変態的プレイに興じている犯罪者予備軍でもない。むしろ、社会に迷惑をかけないために残された選択肢がオムツを履く以外になかったのだ。

    実はギークハウス新宿2丁目が入居しているビルの下に、新しく「Geenius bar」というAppleのジーニアスバーをもじったギークバーを準備中だ。まだ開店はしていないものの、現在では身内のイベントがよく開催されている。

    今回は虫食や珍食に精通しているギー宿のエンジニアが独自ルートで入手した珍魚を食べるイベントに参加したのが、この前日の話だ。

    「24時間後に貴様の尻からワックスが吹き出る」

    sakana

    参加者に告げられた衝撃の事実が各々の全身を駆け巡る。そう、僕らが食べた珍食は「バラムツ」と「アブラソコムツ」という市場には出回っていない珍魚。「全身大トロ」と称されるほどの油の乗った魚だが、毒魚に指定されている。なぜなら、ケツからワックスが出るから

    バラムツ・アブラソコムツというのは、浮袋の代わりに全身にワックスエステルを蓄えることで浮力とエネルギー貯蔵を兼ねた深海魚だ。これは人体では消化することができず、結果として便意を催すことなくケツの穴からワックスが垂れ流されるという重篤なケースに繋がるのだ。社会的に死にかけたケースも多く、その危険性が指摘されている。

    他にも皮膚から油脂がでたり、下痢・腹痛になるケースなど、割りと健康面でもよろしくない面もあるので厚生労働省によって販売が禁止されている。そのため、一般には食べることができないのだが、今回は漁師からハンターへ、ハンターからエンジニアへという謎のルートをとって最終的にニートの口に入ることになる。

    濡れぬ先こそワックスをも厭え

    話はそれ続けるが、ともかくこの魚、めちゃくちゃうまいのである。どう形容していいか、美食経験もボキャブラリーも圧倒的に不足している僕には表現しかねるのだが、ともかく全身大トロというのは間違いない。

    社会的致死量は「5切れくらいなら大丈夫」というなんとも曖昧なラインだが、参加者はみなケツからワックスが吹き出る恐怖からかなかなか箸が進まない。僕とは違い、皆会社や家庭、家族や恋人などがいるのだ。守るべきものと目の前の美食を天秤にかけることなどできまい。僕は、ただただ欲望のままに食べ続けた。結果として10切れ以上食べちゃったのだが、よくよく考えると一切れがめちゃくちゃでかい。

    「おめでとう。これが君のオムツだ」

    普段なかなか食べることのできない珍味をいただいただけでなく、主催者はさらに参加者一人に二枚の老人用オムツを配ってくれた。これだけの美食に加え、アフターサービスまで充実しているとは、なんとも粋なはからいである。

    その後、隅田川の花火大会で夏を満喫するリア充を尻目に、代々木公園でセミを採ったりしていたのだが、それはまた別のお話。ともかくして、前日に英名Oil Fishとも呼ばれるワックスの塊の魚を食べたために、マルチ女性とのミーティングの時間からケツからワックスがバーストする可能性が大いに高まったのである。

    ニート vs マルチ女性

    今回は攻める

    前回のアムウェイの勧誘はマルチ勧誘の全てを垣間見た気がしていて、結構満足してしまっていた。というわけで、マルチの女性と会うのも若干もういいかなーって感じが僕の中であって、今回はそれなりに攻めてみようと思って臨んだ。

    待ち合わせは渋谷センター街のカフェ。リア充が多い東京でも随一の危険スポットである。渋谷は基本的にはAppleStoreと放送大学と個室ビデオ店以外は用がないのだが、最近マルチとの待ち合わせによく使っているので結構来ている気がする。

    おしゃれで可愛いAさん

    Tinderの画面でも若くて可愛らしい感じだったけど、実際に会ってもおしゃれだし可愛い感じだ。仮にAさんとする。

    基本的にマルチ勧誘の人が好むワードとして「海外旅行が好き」というのがある。海外旅行が好きな人はいても、年中自由に海外に行けるほどの自由とお金が手に入れられるというマルチの一子相伝のベイトに使われているからだ。

    僕はさっさと本題に入りたかったので「海外旅行お好きなんですか?」と開口一番にAさんに質問してみる。

    「そうなんですよ。海外旅行に行くのも好きだし、今は海外旅行関係でめちゃくちゃお得になるビジネスもやっているんです。」

    早いわ。挨拶交わして最初のトピックでビジネスに言及している時点で、なんとなくマルチの勧誘でも下手な方なのかもしれない。

    「へぇー、じゃあ今回はその勧誘をするためって感じですか?」

    僕も単刀直入に本題に切り込んでいく。面白くなかったら速攻帰って家でごろごろしたいんだ。相手も「いや、勧誘というか、もちろん海外旅行が好きな人にオススメしているだけですよ」的なことを言っているが、

    「実は僕はマルチの勧誘の人と会うのが趣味で、取材というか話を聞きに来ているんですよね」

    と正体を明かす。社会の底辺にもかかわらず、どこかライター風な雰囲気を醸し出そうと頑張ってみた。

    それでも勧誘を続けるAさん

    まぁ、色々やりとりはあったが、一応プランの中身を見せてもらうことにした。Aさんはこの時間を僕に会うために割いているため、仕方なく付き合うほかないのだろう。

    Aさんはカバンから1枚の紙を取り出して見せてくる。なぜマルチが成功しないか、という紙だ。 紙には日本MLM総合研究所、そして河端という名前がある。どこか聞き覚えがある。

    そう、旅行系の勧誘ということで、僕が1回目に出会った女性と同じところでまず間違いない。紙には「なぜあなたのネットワークビジネスが失敗するか」というノウハウが書かれた冊子があると書いてある。運命のいたずらか、前回見ることのかなわなかった冊子を今回見ることができることを意味していた。

    社外秘の宣伝プリント

    とりあえず、写真を撮っておこうと思って紙にiPhoneを向けると「あ!写真はダメです!」と紙を隠される。

    種「なぜですか?」

    A「これは社外秘なんです。」

    種「社外秘を僕に見せたんですか?

    A「社外秘であっても、興味を持ってくれた人には見せています。」

    種「御社は社外秘であってもそんな理由で重要書類を外部へ見せるのですか?」

    A「えーっと・・・」

    Aさんが言葉につまってしまった。別に矛盾点をつきまくって遊ぶのが目的ではない。マルチの実態が知りたいだけなのだ。なんとか助け舟は出せないかと話を進める。

    種「この紙は宣伝内容が書かれてますよね。仮にこれがSNSとかでシェアされたところで、何の問題もないですよね。」

    A「本当に読みたい人にだけ読んでもらいたいんです。」

    種「シェアされても本当に読みたい人は読むし、読みたくない人は読まないだけですよね。」

    A「うちとしては読んでもらいたい人にだけ読んでもらいたいんです。」

    種「では社外秘とかではなくて、そういう方針ってことですね。分かりました。」

    本当は全然分かってないんだが、とりあえず社外秘のくだりは終わらせる。それにしても前回会った人はトーク力もあって、こなれた感じだが、今回のAさんは全くそれがない。なんか純粋に騙されてやってそうな人だ。

    資料を一字一句読む

    冊子といったがAさんはプリントにして持っているらしい。前回の女性と同様、「しっかりと読んで欲しいので、一字一句必ず読んでください」という前置きがある。

    もらったのは「なぜあなたのネットワークビジネスは儲からないか?」といった内容で、儲からないネットワークビジネスのポイントと、儲かるネットワークビジネスのポイントについてまとめてある資料のようだ。

    1枚1枚読んでいくが、大したことは書いていないのでスラスラと読める。「もう面倒臭いから、全部まとめて渡してくれていいよ、全部読むから」って言ってもAさんは断ってくる。

    Aさんは僕が資料を読んでいる間はiPhoneで、おそらく別のカモとTinderのやりとりをしているっぽい。さすがに僕はもう正体をあかして見込みなしだから消化の時間としているからかもしれないが、普段からこれをやっているとしたらマルチのディストリビューターとしては完全に落第点だろう。

    どうやら資料は3種類あるらしく、今僕が読んでいるのは「ネットワーカー用」、この他にも「一般用」と「法人・団体用」というものがあるらしい。ご丁寧に、喋りに自身がない人にはこの資料を読ませるだけでいいですと書いてある。

    スラスラと読み終わると、「ネットワークビジネスが成功する全ての要素を持ったビジネスがあるのです!それは別資料にて!」といった具合に、いよいよ本題のマルチのビジネスの資料を読ませる算段のようだ。

    Aさんに資料を要求すると、また1枚1枚だ。ちょっとこの手法の模範解答が見たいんだが、どういう意図で1枚1枚渡してくるのだろうか。

    結局のところ、旅行の会員権ビジネス

    今度は写真をふんだんに使った楽しげな旅行先などの情報があるが、つまるところ旅行の会員権を販売しているようだ。会員になるとお得な価格で旅行に行くことができるし、友達も誘うことができる。アムウェイが洗剤のデモンストレーションをやっているところを、友達を旅行に誘うことでデモができるというところで、優位性があると言いたいんだろう。

    ともかく、やはり大したことは書いていないのでスラスラと読み飛ばすと、最後には「もっと知りたい方は、セミナーへお越しください!」と書いてある。僕が色々質問しても「それはセミナーでお答えします」と返されてしまう。

    セミナーの手法は前回のアムウェイの時で結構堪能したので、正直面倒臭いだけだ。残念だけど、今回は見送ろう。

    種延の勧誘のターン

    しばらくは世間話

    とりあえずAさんの勧誘フェーズが終わって、僕も話にのらなかったので消化試合に入ってきた。Aさんの普段の生活とかを色々ヒアリングしてみる。

    どうやら海外に興味はあるけど、海外に行った経験は少ないようだ。美容系の仕事を退職してからまだ日が浅く、お金が必要らしい。夢はフランスで美容系の何かをやりたいらしい。でもフランス語は話せないらしい。全くの嘘かもしれないが、それほど器用そうにも見えないので、一応これが本当という前提で話を進める。

    Airbnbの話を振ってみる

    マルチのビジネスの中身には触れないけど、実際月どんくらい儲けてるの?と聞いてみる。当然答えてくれないわけだが、「例えば情報サイトで、広告単価◯◯円のサイトを月間◯◯PV集めれば月◯◯万くらいはいくでしょ?」とか今持っているお金の知識で揺さぶりをかけてみる。PCには疎いらしく、さっぱりな感じだったのでもっと身近なやつに変える。

    「あとはAirbnb。1K借りれば月◯◯万くらいはいくじゃん?」と、実際のギークハウス界隈でビジネスをやっている人の実例を出しながら話を進める。Airbnbのシステムを軽く説明して、収益をあげるまでに初期投資いくらで、どのあたりでやれば、どの程度見込めるよねっていう話をしてみると、結構食付きがいい。

    「それはどうやったら使えるんですか?」

    Aさんにとってもただの消化時間が金の話になったので乗ってくれてるだけかもしれないが、それなりに興味ありげな感じだ。とりあえずアプリがあるよと言ったら、素直にアプリのインストールを始めるAさん。

    「これどうやったら始められるんですか?」

    と始め方まで聞いてくるので、アカウント登録がいるよという話をする。Aさんは今は実家住まいだから、都内で一人暮らししながら一部屋貸すとかもできるし、友達と共同ででっかいところ借りるとかもできるよねっていう話で盛り上がる。

    そもそもフランスに行きたいんだったら、国でフィルターがかけれるからフランス人を呼べるし、ホストがフランス語を使えるって書いたら結構優位性があるからいいよという話をする。

    ニート、マルチに怒りが沸き上がってくる

    「色んなビジネスの話を聞いてるし、ネットワークビジネスも偏見を持たずに調べてきたけど、マルチビジネスは面倒なだけで旨味ないよ」

    という話をAさんにしてみる。僕みたいなクズが偉そうにご高説をたれているが、ギークコミュニティではビジネスの話が結構な頻度で飛び交っているし、前回のアムウェイで感じたのはマルチで儲けるにはかなりの努力が必要だ。

    嘘かもしれないAさんの話を聞いて、今まで面白半分にマルチの話を聞いてきた僕だったが、途端にマルチに対する怒りのような感情が沸き上がってきた。マルチは現状に不満のある金はないが夢があるような人がメインターゲットだ。僕は人生を諦めたことでかなり気楽に生きることができているわけだが、そうではない人生を諦めきれない若者にダイレクトにつけいるビジネスモデルになんとなく怒りを覚えてきた。

    忘れてはならないが、この時僕はオムツを履いている。

    別れの時

    ともかく、最後の時間までAirbnbの話で盛り上がった僕達だったが別れの時間がやってくる。

    「そろそろ次の人の時間なんで」

    もう完全にビジネスライクじゃないか。具体的に始める段階になったらまた連絡しますと言われる。十中八九連絡は来ないだろうが、もし来たら全力で支援してみよう。

    こうして種延のマルチ三部作は一応完結を迎える。普通の生活を送っていると絶対に会えないような人にも会えるから東京は本当に面白い。清濁全てが集まってきているこの町は本当に暖かいと思う。

    尻の穴からワックスがでる

    トイレに浮かぶ謎のラー油と魚類の香り

    帰宅して、それなりに楽しかったミーティングを思いながら、トイレでうんこをしていたわけだが、立ち上がるとトイレの水にラー油のような油が大量に浮いている。そして、独特の魚類の香りが糞便と入り混じり強烈な悪臭となって襲い掛かってくる。

    やつらがついに来やがったのだ。やはり着弾はうんこと同時。24時間以降にワックスの垂れ流しになるようだ。

    ニートの肛門括約筋がワックスの氾濫を許さず

    Web上の情報だと、ワックスは便意に関係なく垂れ流しの状態になるという世にも恐ろしい情報が書いてあるのだが、こと僕の場合はおならやうんこと同時に出る程度だった。

    ネット上では突然ワックスが吹き出る「決壊」という大自然の神秘に否応なく襲われる被害者がいたようだが、僕の場合は通常どおりオナラさえコントロール下においてしまえば大丈夫だった。おかげで、いただいた2枚のオムツは炎天下でぐっしょり濡れた僕の汗だけを吸収して捨てることになった。

    しかしながら、オナラをするたびにワックスが噴き出る

    しかし、である。もし僕の肛門括約筋の一瞬のゆるみが、取り返しの付かない事態を引き起こしてしまうのは明白だろう。僕はオナラが出そうになる度にトイレに駆け込み、トイレにワックスを吹き出す。翌日になってもその状態は変わらない。

    ギークオフィスでの凄惨なバイオテロは避けたいため、今回は自宅作業をすることにした。

    二日目の夜にはワックスも出し尽くし、久々に安心できる夜を迎える。彼女は今日も誰かと会って勧誘を続けているのだろうか。そんなことを考えながら寝床につく。